ZBrushでは、「ディバイド」と「ダイナメッシュ」をしっかりと使いわけてスカルプトをしよう!

2021年1月10日

今回の記事では、ZBrushの主要な機能である、「ディバイド」「ダイナメッシュ」についてを語っていこうと思っております。

 

「ディバイド」と「ダイナメッシュ」をしっかりと使い分けよう!

「ディバイド」と「ダイナメッシュ」は、ご存知の通り「ジオメトリ」内の項目に格納されていますね。

ZBrushには、「ディバイド」と「ダイナメッシュ」という似たような機能があります。

どんなところが似ているのかというと、どちらも3Dモデルのポリゴンの数を増やしてくれるところでしょうか。

 

この「ポリゴンを増やしてくれる点」ですが、その本質は結構異なるものになります。

 


 

とりあえず、まず先にこの記事の結論を記述しておくのならば前半は『ダイナメッシュ』、後半は『ディバイド』を使え!!です。

どうしてそうなるのかは、以下に順を追って説明していきます。

 

 

どんどん4分割する「ディバイド」

まず先に説明をさせていただくのは、「ジオメトリ」の項目をクリックすると自動的に現れてくる「ディバイド」です。

(一方の「ダイナメッシュ」は、「ジオメトリ」→「ダイナメッシュ」の項目を押す必要があります。)

この構造からも、「ディバイド」はZBrushの開発からメインの項目として位置づけられているような印象を受けますね。

 

ディバイドのボタンを一度クリックすると、現在アクティブになっているサブツールのすべてのポリゴンの数が4分割されます。

もう一度押すとさらに4分割されます。

つまり最初の状態と比較すると、16倍のポリゴン数になったわけですね。

SubDiv1 SubDiv2 SubDiv3

 

 

分割の段階を記憶してくれる

さらに、それぞれの分割の段階を記憶しておくこともできるわけです。

つまり、元々が「SubDiv1」、4分割されたものが「SubDiv2」、そして16分割されたものが「SubDiv3」としてそれぞれ記憶されます。

これらの機能により、制作者は「SubDiv」のレベルを自由に切り替えることができ、お好みの解像度で3Dモデルの編集を行うことができます。

 

例として、キャラクターの制作を例にとって説明してみましょう。

ある程度制作が進んだ状態で、「やっぱりポーズを大きく変更したい」となりました。

3DCGの特性上、大きく形を修正することはなかなか難しいです。

アナログの粘土と違って、修正を加えようと手をかけたところのみが大きく変更してしまいがちです。

ところが、ここで低いSubDivに切り替えて編集を加えれば、そのような心配も薄くなるのです。

 

以下は犬の背骨を盛り上げる編集をする例です。

一度、低SubDiv(1)の状態で編集をして、高SubDiv(4)にすれば・・・

全体的に自然に編集をすることが可能。

一方で高SunDiv(4)のまま編集するとどうなるか。

このように局所的に編集がかかってしまう・・・。

ちょっと分かりにくいかもしれませんが、このことは人物の手足などの細長いものを動かす際に、かなり大きな問題として表面化してくると思います。

 

 

ポリゴンの形状を平均化する「ダイナメッシュ」

一方で、「ジオメトリ」の項目内にある「ダイナメッシュ」の項目を選択することによってはじめてクリックできるようになる機能が、「ダイナメッシュ」です。

「ダイナメッシュ」は、そのボタンの位置的にも、開発からはそこまでメインの機能として設定されていないように思います。

一言で「ダイナメッシュ」の機能を言い表すのならば、「ダイナメッシュ」は、ポリゴンのゆがみを均してくれる機能であると言えるでしょう。

実行することで、あらかじめ指定されている解像度に応じてポリゴンの形状を調整します。

その際にいびつな形のポリゴンがあれば、メッシュの形状に応じて平均化しれくれます。

何を言っているのか分からないという人向けに、写真でも説明してみましょう。

僕自身も何を説明しているのか分からないので・・・。(笑)

 

この犬の尻尾付近のモデルのように、極端に引き延ばされたポリゴンがあったとしましょう。

このまま編集をしていくと、あとあといろいろ不都合が出てくるはずです。

ここに「ダイナメッシュ」をかけてみるとどうなるでしょうか。

 

どうでしょう。

メッシュの形状は保持しつつも、ポリゴンの形状が綺麗になりました。

密度が高まりはしましたが、ベースメッシュとして好ましいです。

これが「ダイナメッシュ」です。

 

 

穴を埋めることもできる

「メッシュのゆがみを綺麗に平均化させる」という機能の延長上なのかは知りません。

もしもメッシュに穴が空いている場合は穴埋めをすることもできます。

左が穴が空いている状態、右が「ダイナメッシュ」で穴をふさいだ状態です。

 

もしもメッシュの分割などで空いてしまった穴を閉じたい時。

そんなとき解決策の一つとして「ダイナメッシュ」の操作が一つ有効でしょう。

 

 

どんな時に「ディバイド」? 「ダイナメッシュ」?

ざっと「ディバイド」や「ダイナメッシュ」の機能を確認しました。

では、続いてより具体的な内容に入っていきたいと思います。

どんなときに「ディバイド」を使い、また逆に「ダイナメッシュ」を使うのでしょう?

 


作り始めは「ダイナメッシュ」→中版以降は「ディバイド」!

結論から言ってしまえば、作り始めは「ダイナメッシュ」、そして中版以降からは「ディバイド」を使うようにしましょう。

 

 

「ダイナメッシュ」はベースメッシュ作成用のツール

公式が発行したユーザーガイドを見てみると、そもそも「ダイナメッシュ」はベースメッシュ作成用のツールとして開発されたものであるようです。

主に、低~中解像度のモデリングに向けた機能とのこと。

それ以上に細かいディティールを作る場合はサブディビジョンスカルプト(すなわちSubDivを伴った=「ディバイド」)による制作を推奨されています。

なにも公式の言う通りにやる必要があるわけではありませんが、こういう目的で作られたものなので、それに則った方が楽だとは思います。

 

 

後半は「ディバイド」!

先ほどにもいったように、公式としても「ダイナメッシュ」が初版、そして中版以降から「ディバイド」を使うべきであるという流れを推奨しています。

「ダイナメッシュ」で綺麗なポリゴンの並びのメッシュを作り終えたら、「ディバイド」で4分割していって、ディティールを作り込む。

この流れが基本になってきます。

 

 

仕上げに「ダイナメッシュ」?

ただし、本当に最後の最後まで「『ディバイド』だけで終われるか」と聞かれると、ちょっと難しいものがあるように思います。

というのも、仕上げの際には、別々で作ったパーツを一纏めにする場面も生じてくることが多いと思うからです。

 

 

別々で作ったパーツを一つに纏める「ダイナメッシュ」

別々で作ったパーツを一つに纏める場合は、「ダイナメッシュ」の平均化の機能が欠かせません。

ディバイドでは、ポリゴンを分割するだけですから。

 

例えば、僕がよくやるものとしては、「体」と「手」を結合するパターンです。

僕は「体パーツ」と「手パーツ」は別々に作ります。

その方が、作りやすいですからね。

 

そういったものを最後に一つに纏めるには、「ダイナメッシュ」を発動させるしかありません。

 

 

 

「ディバイド」、「ダイナメッシュ」の注意点

「ディバイド」と「ダイナメッシュ」を駆使する上で気を付けたいことを最後に纏めます。


 

「ダイナメッシュ」をかけると、「ディバイド」のSubDivが消滅する!

「ダイナメッシュ」をかけると、「ディバイド」のSubDivが消滅します。

つまり、低解像度と高解像度を行き来しての制作を行うことができなくなります。

さっきまでの操作を行うことは、もうできません。

このため、もしも「仕上げのダイナメッシュ」を実行するなら、別データとして立ち上げたものでやることがオススメです。

 

 

始めから完成まで「ダイナメッシュ」しまくる

完成まで「ダイナメッシュ」し続けることは良くないんだそうです。

こちらも「ユーザーガイド」からの抜粋になりますが、「ZBrush初心者にありがち」だそうで。

まぁ、確かにダイナメッシュだけでは詳細な作り込みを行うことは難しいです。

作り込みを行う場合は、「ディバイド」の方が断然やりやすいですよね。

 

僕自身もZBrush Coreを使っていた時代には、ずっと「ダイナメッシュ」ばかりを使って、作り込みを行っていました。

細かい部分はなんとか「気合」で作っていましたが、「ディバイド」のすごさを認識できていればそんなに苦労することもなかったのになーと思った所です。