ZBrushで原型を作って、Blenderに取り込むことのメリット

2021年1月10日

ハイポリ作成に長けているZBrushでハイポリの原型を作って、そのあとBlenderに取り込むことについての意義を語っていきたいと思います。

 

 

 

なぜZBrushで作ってBlenderに読み込ませるのか

なぜZBrushで原型を作って、後々Blenderに読み込ませるのでしょうか。

何もわざわざそんなことをしなくても、目的の用途に応じたソフトが1本あれば事足ります。

それこそ「極論」を言ってしまえば、Blenderが1本あればOKですよね。

 

 

理由:ZBrushがモデリングに特化したソフトだから

敢えて一つ、単刀直入な回答を記述するならば、それは「ZBrushがモデリングに特化したソフトだから」です。

厳密にいうと、「スカルプトに特化した」ですね。

 

確かにBlenderにも「スカルプトモード」があります。

しかし、あくまでもBlenderのたくさんある中の一機能。

やはりZBrushには勝てません。

 

 

スカルプトに特化したZBrushを使えば、モデリングの効率化を図ることができる!

「モデリングに特化している」からこそ、不足していること

「何かに特化している」ということは、裏を返せば「不足している点」も少なくないことを意味しています。

言ってしまえば、スカルプト関係以外のものがBlenderと比べると弱いのですが・・・。

 

以下にZBrushに不足している点を抽出して確認してみましょう。

もしも以下の点を3DCGで演出してみたいとなると、ZBrush以外のソフトの存在が必要です。

 

 

ポージング、アニメーション関係

ZBrushには3Dモデリングに骨を入れて、動かす機能はありません。

一応タイムラインの機能はあります。

そこでBlenderと同じような感覚でキーフレームを打ち込むことはできますが・・・。

ですが、それは「作品のプレゼン用」のための機能という印象が強いです。

 

 

レンダリング関係

質感についてはマテリアルの編集を行えば、問題はなさそうです。

しかし、「Blenderのようなカメラワークを使うことができるか」という点に関しては、無理だと思います。

ピントをボケさせて遠近感を演出したり、特殊な光源などのエフェクトを扱うことは無理です。

コンポジットノード的なものも、当然無理でしょう。

ネットを見渡してみると、別のソフトの力を借りて、やっている人が多いですね。

 

 

ZBrushの弱点

→ ポージング・アニメーション レンダリング関係

これらをやりたければ、他のソフトに移行させなければならない!

 

 

ZBrushが圧倒的に優れている2点

ZBrushの悪口のような文章ばかりになってしまいましたが・・・。

当然ながら良い点もあります。

以下に個人的に感じる「ZBrushが優れている点」を述べていきたいと思います。

 

 

絵を描くように直感的なスカルプトができる

まずなんといってもスカルプト時の操作性が非常に素晴らしい点があげられるでしょう。

この操作性の素晴らしさはBlenderのスカルプトモードの比ではありません。

 

入力デバイスとしてペンタブを用いる点が画期的ですね。

「ペンタブでどうやって3DCGを作るんだ?」と思う方も多くいらっしゃると思います。

正直、Blenderでのマウス操作に慣れていると、初めは戸惑うかもしれません。

しかし、慣れてくれば快適に感じるでしょう。

 

マウスの場合は、指定の箇所をクリックしたり、ドラッグする場合も手ごと移動させる必要があります。

しかし、ペンタブの場合はより単純です。

絵を描くように手首をひねったり、筆圧を変えるだけで微妙な表現の違いを演出させることができます。

 

感覚の話になってくるため、文字でいくら書いてもイメージしにくいかもしれません。

しかし、マウスでちまちまと操作をしない、直感的な有機的な形態を作ることが、ZBrushでの操作環境にあることは理解いただけるかと思います。

 

 

自動リトポロジーができる

ポリゴン数が多くなればなるほど、リアリティは増します。

しかしその分データは重くなります。

そして、なによりも制御がしにくくなりますよね。

ソフト間の互換性に関したって、データが軽い方が高まります。

 

ハイポリ分野に強いZBrushですが、この辺りの障害をクリアするための機能がしっかりと備わっています。

具体的にいうと「Zリメッシャー」という機能になります。

このおかげで、ハイポリのリアリティをある程度保ったまま、ローポリに変換することができるのです。

これは素晴らしいと思います。

※「ZBrush Core」では非搭載です!

 

 

ZBrushの場合はハイポリ向けのソフトです。

このたためか、ローポリが苦手なので「Zリメッシャー」による自動リトポの場合は、設定を最小値にしてもそれなりに多いポリゴン数になってしまいます。

まぁ、ハイポリで作ったモデルの表現を保ったまま、必要最小限のポリゴン数にするのならば、許容の範囲内かもしれませんが・・・。

 

 

ZBrushで原型を作って、リトポ(リメッシュ)してBlenderに取り込む実例

ZBrushで直感的に作った有機的な形態を、Blenderに落とし込む実例です。

 

 

3つのステップ

大きく分けて、操作のステップは3つ。

 

1:ZBrushでハイポリモデルを作成

まずは原型となるハイポリモデルをZBrushで作ります。

このポリゴン数をBlenderでスカルプトすることもできなくもないですが、おそらく重すぎてやってられなくなってしまうでしょう。

 

冒頭にも上げた、性別不詳の3Dモデルです。

 

試しにこいつの体のポリゴンを可視化させると、この通り。

Blenderではいちいち作っていられません。(笑)

 

 

2:Zリメッシャーでローポリ化

続いてZリメッシャーでローポリ化します。

ローポリというのは、あくまでZBrush的なローポリです。

Blenderからしたらまだポリゴン数が多いようにも感じるかもしれませんが、まぁしょうがない。

繰り返しになりますが、ZリメッシャーはCoreには無い機能になります。

 

メッシュが密すぎて真っ黒になっていたボディも・・・。

 

最小限のディティールを残してすっきり!

これでデータ的にも軽くなったはずです。

 

 

3:Blenderで読み込む

ローポリ化されてデータが軽くなったら、Blenderに取り込みます。

取り込み方は1:objファイルとして読み込むか、2:GoZで転送するかの二択になってくるのではないかと思います。

objでやるのが一般的かと思います。

GoZは初期設定が面倒ですが、一度設定しておけば簡単にデータの転送を行うことができます。

どちらが正解かなどはないでしょう。

 

無事にBlenderに取り込むことができました。

このように、ZBrushで原型をつくれば、簡単に有機的な形態をBlenderに落とし込むことができます!

多少の細部が潰れてしまったこと(へその当たりとか)は、ソフト間の互換の関係である程度は目を瞑るしかありません。

 

ただし、GoZの場合はいろいろと制約が出てくるため、それらに留意をしておく必要もでてきます・・・。