背景を描きこまなくても絵が上達する理由
前置き
ここ2週間の週末の土日休みの時間をつかって、ペイントソフトSaiでのお絵かきを久しぶりにしております。
PCでのお絵かき自体はなんだか凄く久しぶりな状態のはずなんですが、その間にも他でクリエイティブなことはずっと継続してきているので、そこまで久々に筆を握っている感は正直ないですね。
とりあえずまだ未完成ですが、現在加筆中の絵を載せてみたいと思います。
いかがでしょう。
これは僕が昔働いていた職場の同僚の男性をイメージして描いている絵になります。
よくわかりませんが何も考えずに(ただただ感じるままに)筆を走らせていたらこのようになってしまいました。
あ、さっきから筆筆いってますが、正確にはペンタブレットですね!
どうでもいいでしょうが・・・。
完成してから一気にバッと載せようかなぁ~なんて考えていたんですが、ブログのネタになりそうだしここらで一旦載せておくかって感じですね。
今のところ8割完成という感じです。
しかし絵って残りの2割の完成度を高める過程が非常に難しくて難易度が高いんですよね~。
この2割っていうのはパッと見の見た目には大した影響は無いとは思うのですが、絵の完成度を左右するため非常に大切な部分になってくると思うんですよね。
さぁ今週末、お盆休みの初日で早いところ完成させておかなくちゃ!
さて、そろそろタイトルにも記載した本題にも参ることにいたしましょうか。
厚塗りなら背景を描きこまなくても上達する!
まずは上にあげたような厚塗り系の絵を例にして説明していきます。
薄塗りの場合は、後半に記述いたします。
結論から言うと、背景をいちいち描き込まなくても背景をしっかり意識してさえいれば全体的に絵は上達していきます。
ただちょっと特殊な考え方や着眼方法が必要になってくるので、今から順を追って説明していきたいと思います。
基本は背景を描くべきだが・・・
ネットの書き込みなんかでは「絵の上達には背景を描くことが大事だ!」なんていう意見があります。
確かに背景を描くことは、絵の上達においては非常に重要です。
単純に背景を描くことで作業量が必然と増えていきますから、まだ絵を描き始めたばかりの未熟なうちでもさっさと経験値を積み上げていくことができて、早く上達することができるわけです。
しかし必ずしもその必要はないのではないかというのがDAIの考えです。
上の僕の絵を例にとると、背景は緑(と灰色)の色面で塗りつぶされているだけとなっており、他には背景にほぼ何も描いておりません。
そして今週の土日に予定している加筆においても、背景に何かを描き足す予定はありません。
緑と灰色の、いたってシンプルな構成のまま終わらせようと考えており、そういう段取りで絵を完成させていこうとしております。
僕はこのような描画スタイルでずっと絵を描いてきたのですが、それにも関わらずこのレベルにまでは段々と絵を描く技術が上達していきました。
背景もろくに描いていないくせに、なぜここまで上達してしまったのでしょうか?
これは背景には何も描いてはいないけれども意識をしっかりと向けていたからなんですね。
「背景に意識を向ける」とは?
「何も描かなくてもOK、ただし意識は向けるように」
これだけだと意味が分からないかもしれませんね。
背景を描き込まずに意識をむけること、それはすなわち被写体が背景の中にしっかりと存在していることを意識することになります。
余計に意味不明になってしまったでしょうか?
例えばアウトラインがバッキバキになっていて、塗り分けなんかもバッキバキに入っている絵。
もしもアニメーション用の絵としてであれば、そのような稜線がしっかりと分かりやすく描かれていたほうが動きなどが見やすく描く労力も減るため好都合だと思います。
しかし今回のように一枚の絵として成立させる場合では、被写体と背景が別個の存在に描き分けられてしまうため、アウトラインがあることで絵としての空間的な一体感が損なわれてしまいます。
現実世界で実際に目の前に広がっている景色・風景というものはどんなものにでも背景があって、被写体はその背景を背後にまとってそこに存在しています。
よく見ていただくと分かりますが、被写体と背景はアウトラインで仕切られているわけでもなく、背景をまとって被写体がただそこに存在していますよね。
現に僕の目の前にも、今はPCのキーボードやモニターがあり、さらにその背後には壁があります。
もしかしたらこの文章を読んでいるあなたの手にはスマートフォンが握られており、その背後にはスマホを握るあなたの手だったり、その他の何らかの背景が必ずあるはずです。
これらの「被写体」×「背景」の関係性は基本的には切り離すことができず、必ずセットでくっついてくるのです。
絵を描いていく上では、この意識が非常に大切になってくるのですね。
なので絵の上達論において必ずと言っていいほど「背景を描くように」というアドバイスが出てくるわけなのです。
背景を描くこととは、すなわち背景を意識することで「被写体」と「背景」の一体感を演出させて、一枚としての世界観を統一させることになるのです。
ということは、この理屈や心構えなどをしっかりと把握しておけば、極論ではそれこそ背景など全く書かずとも美しい絵を仕上げることもできるのです。
背景をしっかりと意識しさえしていれば、どんな世界観の絵にも合った被写体を描こうという意志が描き手に芽生えます。
実際に描き切れるかどうかは描き手の力量次第になりますが、こういったことを積み重ねていくうちに、表題のように「背景を描かなくても」絵を上達させることができるようになるのです。
実現が不可能な構図だったり幻想的な絵が描ける人は、この理屈をベースにしっかりと抑えているからこそ、そのような不思議な構成なんかが描写描写できるようになるんです。
非常に大切なマインドです。
むしろ薄塗りで上達させたい
もしもあなたが描きたい絵が厚塗りではなく「アニメ風」「平面的」といった薄塗り系の描画方法であっても、同じような理屈で絵を上達させることができます。
しかし薄塗りの場合は背景を描くようにした方が上達が早いです。
厚塗りとは絵の描き方が違ってくるため、背景を意識しただけでは効率のよい上達が行えません。
実は自然に被写体と背景の一体感がとれている
厚塗りの場合は「被写体と背景の調和さえ意識していれば自然と絵が上達していく」という理屈でした。
ある程度意識をしていないと、徐々に被写体と背景との関係性が乖離していって、一枚の絵として仕上がりにくくなってしまうのが厚塗りの大変なところです。
しかし薄塗りには、厚塗りほどそのあたりに意識を向ける必要性が低く、しかも描画方法の特性上すでにある程度の色面分割がされているため、実は無意識のうちに被写体と背景のバランスをとっていることになるのです。
極端な話、背景に白い色面を塗っておいて、あとは線画でキャラクターの輪郭を描いて中を塗っていけば、一枚の絵としてそれなりに見ごたえのあるものに仕上がります。
そういった具合で、背景を書かなくても上達させていくことは、正直可能です。
線画の影響力が大きい
ただし立体的な厚塗り表現の絵と違って線画で非常に印象が左右されてくるため、微妙な線の入り方なんかに対する繊細な気配りが薄塗りには必要になってきますね。
ちょっとした線の入りだけでも印象がガラっと変わってしまいます。
例えばコップ。
参考資料をご用意いたしましたので、まずはご覧ください。
これらは、2種類のカップと、それぞれの底面のイラストを模式的に表したものになります。
ちょっと簡単に描いているので見にくいかもしれませんが、「実在するようなカップを模式的に表したイラスト」として正しい方は背景が灰色の方の(向かって左側の)イラストになります。
背景が白い方(右側)も、一見するとなんの変哲もなさそうな円柱に見えるかもしれませんが、底面の形が円ではなく「目」というか「レモン」というか、そんな形になっていることがわかると思います。
右側のカップは前後方向に倒れて中の飲み物がこぼれやすそうな形状をしていますね。
このように上から(もしくは下から)見たときに「丸い」のかそれとも「目のようなレモン形」をしているのか。
こういった形状の違いも、すべて線の入り具合で決まってしまいます。
ちなみにこの例のイラストの場合は、底面の形が円形になっていればいいため、右側のイラストの底面の線の入りをシャープな線からなめらかな線に変えてあげるだけで、左のようなちゃんとしたカップになります。
厚塗りの場合はこのあたりは多少のごまかしが効くのですが、アウトラインがもっとも前面に出てくる薄塗りの場合はそういうわけにはいかなくなってきますね。
背景の描き込みは経験値のため
薄塗りは線画でほぼすべて決まるといっても過言ではないことは説明いたしました。
ではなぜ薄塗りに対しても「背景を描くことが重要」であると言われているのかというと、線画の描画力をあげることにつながるからだと思われます。
薄塗りの場合は線画をうまくきれいに描けるか否かが、上手いか下手かを分ける分岐点になってきます。
線画スキルに関しては、正直言うとひたすら描き続けることでしか上達する方法がないように思います。
先ほどご説明したカップの線の入りもそうですが、この辺りは経験を積んでいかないと中々描き切ることはできないように思います。
もしかしたら他に方法があるのかもしれませんが、思いつきませんね。
このためネットの書き込みなどで「絵の上達には背景を描くことが大事だ!」なんていう意見がでてきているのではないかなと思います。
「考えている暇があれば手を動かせ!」の精神でしょう。
薄塗りであっても背景との調和を忘れるべからず
いくら「薄塗りは背景と調和しやすい」とは言え、その言葉を過信しないようにしてください。
厚塗りの際にさんざん言いました、この「背景との調和」。
薄塗りの時はある程度は自然に調和してしまう旨を説明しましたが、薄塗りだからと言って調和するわけでは決してないのでご注意を。
薄塗りであっても調和が乱れるときは乱れてしまいます。
例えば緑の背景に対して赤いキャラクターを描いてしまうと、緑と赤の補色の関係でものすごくバチバチとした絵面ができあがってしまいます。
バングラデシュの国旗のような感じですね。
あの国旗のような迫力感を、緑と赤を使って演出したいということであれば良いとは思いますが、そうでもない限りはよしておく方が得策であると思います。
自然界にあるような背景(白背景、青空、など)の色彩であればこのような問題に直面することもありませんが、こういったこともあるということは事前に理解しておくといいでしょう。
まとめ
はい、ということで、厚塗り・薄塗りに問わずとにかく被写体と背景の関係が大切です、という内容が今回のお話の概要でした。
厚塗りの場合は自発的な意識が必要、薄塗りの場合はそこまで意識していなくてもなんとかなる、というこです。
ただし薄塗りの場合は線画の影響力が非常に大きいので、線の入りや向きなんかに神経をとがらせる必要があります。
もしも絵が中々上達しないという人は、ご自身の描画スタイルに合わせて、一度この辺りの意識を自分がしっかりと持てているのかの再確認をしてみるといいかなと思います。
●今回のまとめ
厚塗り →
背景を意識しさえすることが重要(描き込まなくてもOK)
薄塗り →
背景を描き込んだ方が上達が早い(経験値の積み重ねが上達への近道)
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