「『ZBrush Core』でつくるフィギュア原型・改訂版」でフィギュア原型を作ってみる! 僕的に感じた、原型づくりの3ステップと感想!

「ZBrush Coreでフィギュアの原型を作る手順が知りたい・・・。」

「デジタル造形でフィギュアの原型を作ってみたい・・・。」

 

僕は漠然とそのような思いを抱いておりました。

先日、ZBrush Coreフィギュアを作ってみましたので、記事にして紹介したいと思います。

参考にした書籍はこちら(↓)です。

「『ZBrush Core』でつくるフィギュア原型」です。

 

「改訂版」とわざわざタイトルに記載しているくらいですから、「初版で得られた様々な批評を受けて、しっかりと改善を施すように頑張ってくれている著者さんなんだなぁ」という印象を僕としては受けました。

Amazonでの評価も良さそうなので、買ってみた次第です。

 

ちなみに本で案内されているキャラクターは「猫っぽいポージングをしている女の子」ですが、僕が作ったキャラクターは「全く違うもの」に仕上がっております。

あらかじめご了承ください。

 



「ZBrush Core」でフィギュア原型を作るための3つの手順!

予め言っておきますが、この本の中で「3つの手順!」と言われているわけではありません。

僕が一通り作り終えて、「手順としては大まかに3つくらいかなぁ~」と感じただけです。

ご理解ください。

 

1.素体づくり

まず素体を作っていきます。

顔、体、髪を一通り作ります。

手や足は後々のポージングの事を考えて、別のサブツールとして作っていくことを推奨されていました。

確かに、その方が都合がよかったですね。

「Zsphere」や「ダイナメッシュ」などを使っていきます。

 

頭部

頭部の制作です。

「ダイナメッシュ」もそうですが、「ディバイド」で面の数を上げた状態での制作もしています。

頭部は作っていて楽しいので、先走って着色をしてしまいました。

 

素体

素体全体です。

いきなり本の女の子とはかけ離れた姿・形をしてしまっておりますが、手順は則っているためこのまま進めていくことにします。

 

2.素体分割、ポージング

ある程度出来上がったら、素体をパーツごとに分割していきます。

ポージングはその後の方がとりやすいです。

分割

「分割」とは、すなわち「サブツール化」ですね。

今まで左右で対だった腕や脚も、「左腕」と「右腕」、また「左脚」と「右脚」でそれぞれ独立させるわけです。

このようにすることで、ポージングがしやすくなるということです。

胴体も「胸部」と「腹部」に分けました。

左右の腕に関しては、さらにそれぞれを「前腕」「上腕」に分けました。

つまり腕だけでも、パーツが4つもできてしまいました。

 

ポージング

パーツができたら「ポージング」です。

細かくサブツール化されているため、調整がしやすいですね。

いろいろとパーツを動かして「これだ!」と思うポーズを探ります。

ここでも僕の作品は本の内容からまたかけ離れていきます。

このあといろいろあって、次に出てくる写真のようなポージングになりました。

 

3.パーツ結合、仕上げ

ポージングも決まったら、各パーツを一つにし、仕上げをしていきます。

パーツ結合

すなわちサブツールの結合ですね。結合したあとで高解像度の「ダイナメッシュ」をかければ、パーツのつなぎ目を自然になじませることができます。

いろいろあって、結合後に髪の毛を伸ばすことにしました。

「Zsphere」をここでも利用しています。

 

細部の仕上げ

「服」や「靴」などの小道具も作っていきます。

僕は「薄手のドレス」を作りたかったのですが、本では「ショートパンツ」などの体に密着するような形状の服を作っていました。

このため上手く参考とさせていただくことができませんでした。

「ショートパンツ」のポリゴンを応用して、「ドレス」を作ろうとしたのですが、股の箇所で写真のように破綻してしまいます。

まぁ、なんとか強引に作り込むことにしましたが・・・。

 

完成!

仕上げ作業に大量に時間を投入した末、ようやく作品は完成しました。

結果的にこのような状態になりました。

ZBrush Coreのみで、フィギュアのデジタル原型を作成いたしました。

本の表紙の女の子とはかけ離れた姿です。

 



本を読了した感想

実際には、この後にはまだ3Dプリントをする工程の説明があります。

ですがとりあえずここまでと致します。

 

フィギュアのデジタル原型の作り方が知れる!

僕のように、

・「ZBrush Core でフィギュアのデジタル原型を作ってみたいが、やり方が分からない」

・「ZBrush Core の何となくの操作は分かっているが、しっかりとした使用方法で作品を作ってみたい」

・「独学で習得した ZBrush Core で、何となく作品を作ることはできるが、偏った使用方法ではなく正攻法が知りたい」

といった不安を抱えている人には、ZBrush Coreで作品を作る方法を知るためのいいテキストであるように思います。

 

ZBrush Core だと、痒いところに手が届かないかも・・・?

この本自体は、「ZBrush Coreの使用方法」を覚えることができるものだと思ったため、本の内容自体に僕は大いに満足しました。

しかし、おそらくはソフトの特性上なのでしょうが、ZBrush Coreでは痒いところに手が届かないような印象を感じました。

「作りたいものを作るためには ZBrush Core だけでは不十分だと感じた」という具合です。

 

パキッとした面が作れない

ご存知、ZBrush系のソフトは「有機的な形態」に強いスカルプトソフトですね。

このため、Blenderなどが得意とするような「無機的なもの」を作ることは苦手です。

「靴」などの人工物を作るとなると、なよなよとしたものになりがちです。

 

ただ、こちらに関しては、「ディバイド」の使い方をもうちょっと考えれば改善するかもしれません。

もう少し様子身です。

 

髪の毛の稜線がゆるい

フィギュアの髪の毛というものは、リアルな毛質ではなく多少デフォルメされていることが多いですよね。

このため、質感を制御させるために稜線の決まり具合がモノを言うと思っています。

しかしこちらも造形が細かくなってきた終盤になってくると、なかなか気持ちの良い稜線を引くことが困難になってきてしまいます。

 

こちらも同じように、「ディバイド」の使い時を上達させればなんとかなるようにも感じます。

しかし髪の毛の場合は一筋縄にいかないようにも思います。

毛量の小さいキャラクタであればいいでしょうが、毛量が多い場合はディバイトだけでは足りないように思います。

ZBrush(無印)には「Zリメッシャー」という機能があって、「メッシュの形状を極力変えないまま、ポリゴン数を整えてくれる」という機能があるそうです。

「こういったものを有効的に使用しなければ、効率よく制作をすることはできないのかな?」

なんて思う訳です。

 



ZBrush Core でフィギュア制作を検討しているなら、購入するべし

話がちょっと脱線してしまいました。

とりあえず、「ZBrush Coreでフィギュアを作りたい!」という思いをお持ちの方であれば、「『ZBrush Core』でつくるフィギュア原型・改訂版」は満足のいく内容の本であることは間違いないと思います!