Blenderで腕や手首などを滑らかに捩じる方法!

今回の記事では、Blenderで滑らかにオブジェクトを捩(ね)じる方法についてを、確認してみたいと思います。

Blenderで腕や手首などを滑らかに捩じる方法!

まず先に、Blenderで腕や手首などを滑らかに捩じる方法を確認していきます。

僕としては、以下の2つの方法が有効であるように考えております。

回転させたいものの頂点数と増やし、そしてそれを制御するだけのボーンを用意しておき、

1.回転コピーを使う。(親から子へ)
2.IKを使う(子から親へ)

こんなところです。

 


滑らかに捩じるなら、頂点を増やそう!

最初に説明した2つの方法も、共通していることがありました。

それはメッシュの頂点数を増やしておくことです。

もしも何も工夫をせずに捩じってしまうと、このようにメッシュが潰れるように捩じられてしまいます。

 

Blenderでは頂点の位置を最短で結ぶ形で、メッシュが貼られます。

したがって、前腕のような細長いものを回転させると、その形状によってはメッシュが潰れて破綻してしまう場合があります。

破綻させずなめらかに捩じるようにするために、取り合えず頂点を増やしておきましょう。

 

 

頂点数を増やして検証

早速ですが、頂点数を増やして検証してみましょう。

 

まずは1.回転コピーを使う。(親から子へ)の方法を使って試してみます。

2.IKを使う(子から親へ)は後半の方に詳しく載せています。

 

制御する頂点を増やし、ボーンを2つ分追加をしました。

これを、さっきと同じように捩じってみます。

どうでしょう。

まだカクカクしたように見えるでしょうが、さきほどよりは滑らかに捩じれているように見えませんか?

 

このように、人やキャラクターの前腕部分などの捩じれが生じる箇所には、こういった回転の機構が必要になってきます。

まぁ、最初に上げた例のように、「破綻しても構わない!」ということであれば、その限りでも無いのでしょうが・・・。

 

 

更に細かくしてみる

ちなみに、これをもっと細かくすると、このようになります。

回転具合が分かりやすいように、先端(向かって右)に三角形の突起をつけておきました。

 

ここまでくれば、ボーンの総数は16可動頂点数は15

作っている作品にもよるでしょうが、このくらいの細かさがあれば、十分に滑らかな捩じれを演出させることが出来ているように思います。

 

そもそも、腕や手首をここまで180度回転させる必要は通常であればないはずではありますが・・・。

今回は説明ということで、敢えて大げさに回転させています。

 

 

余談:ローカルY軸以外の動き

ちなみに完全に余談になりますが、今までは軸をローカルY軸のみに制限して回転の操作をしていました。

軸を制限しなかった場合は、このような動きになります。

滑らかに、面白い動きをしれくれます。

このような下らない動きをふとしたときに目撃することができるのが、Blenderのいいところだと思います。

 


回転コピーを使うか、IKを使うか

頂点数を増やしておくことが、滑らかに捩じることの鍵でした。

あとは、どのようにして捩じっていくのか。

親→子か。

それとも子→親か。

この辺りはどちらでも大丈夫です。

好きな方を採用してください。

 

簡単な方は、親から子(回転コピー)へと動かす方だと思います。

ですがIKを組み込む関係上、子から親(IK)へと動かす方が、実用性は高いです。

 

 

回転コピー(親→子)

回転コピーを使った機構は、簡単に言うと一つ前の親ボーンの動きを、子ボーンがコピーをし、それが連続することで全体が動く仕組みのことになります。

今回の記事でここまで使ってきた方法はが、まさに回転コピーを使った機構になります。

元のボーンを回転させれば、先端のボーンも連動して動き増します。

 

向かって右側が先端になります。

各ボーンに親の回転をコピーさせます。

その状態で元のボーンを回転させれば、今までの作例のようにボーン全体がぐるぐると回転するわけです。

 

 

IK(子→親)

キャラクターに骨組みを仕組む場合のことを想定すると、こちらの方が採用されやすいかもしれません。

IKを使って、腕の先端から機構を動かします。

 

簡易的に腕を作り、その関連ボーンを用意し、IKによる捩じれの機構を作ってみました。

捩じれすぎによるメッシュ破綻もなく、綺麗に出来上がっていると思います。

 

こちらも、事前にメッシュを細分化し、それぞれのメッシュの回転を制御するボーンを用意して、それぞれにウェイトを付けるような形になっております。

回転の他にも、IKを使っているため、腕そのもの動作も問題なく行うことができていることが、確認できると思います。

 

 

IK機構の詳細

この機構の詳細を解説いたします。まずは、図で説明します。

このような機構になっています。

回転コピーを取り入れている点は、先ほどと同様です。

「子→親」とは言いましたが、分解してみれば機構の伝動自体は親→子でしたね・・・。(笑)

 

言い訳ではありませんが、一応IKだけでも腕を捩じることはできます。

しかし、IKによる捩じれだけの場合では、物理的に捩じることしかできない機構ができあがってしまいます。

 

人間はどんな時に腕を捩じるのかと言えば、やはりそれは本人が腕を捩じりたくなった時です。

自然に腕が捩じれるわけではありません。

このような表現上の理由により、作例では再び回転コピーを採用することにしました。

 

 

制作上の2つのポイント

そしてIKを組み込む場合は、IKターゲットIKボーンとの関係性をしっかりと考えなければなりません。

ポイントは2つ。

 

<1>まずは、回転元となるボーンを、IKリグの回転と連動するように、トランスフォーム変換をします。

このことで、前腕の6つのボーンは、リグの回転に合わせて捩じられるように回転します。

 

<2>あとは先端にあるボーンにIK設定をし、IKターゲットをリグに設定しておきます。

チェーン数は前腕に仕組まれたボーンの数である「6」を指定しておきます。

この時、肘関節の接続を外しておくと良いでしょう。

僕はそのままのノリで、上腕と体ボーンの接続も外しておきました。

 

 

この機構で、IKリグを動かせば腕が動くのはもちろんのこと、IKリグを回転させるだけで滑らかに腕を捩じることが可能となってくるのです。