Blenderを上達させていけば、スキルとして扱われて就職をすることができるのか?
無料の3DCGソフトとして、多くのユーザーから人気を得ている「Blender」。
僕は以前にBlenderを使って3DCG関係の職種に就職をしようと考えていたことがありました。
今回の記事では、その時の僕の経験を踏まえて、「Blenderを上達させることで、3DCG関係の仕事に就くことができるのか」を記述していきたいと思います。
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Blenderを上達させていれば、3DCG関係の仕事に就職することができるのか
僕の経験上のお話にはなりますが、先に答えを上げておくならば、条件を選ばなければ「就くことはできる」になります!
意外でしたか?
ただし原則は、3DCG業界の求職において「Blenderができること」はスキルとしては見られませんので気を付けてください。
企業側は求職者に対して、やはり「MAYA」や「3dsMAX」などのソフトの使用経験を求めてき、またその多くも趣味としての経験ではなく実務経験を求めてきます。
「Blender」ができるかどうかは、「今後の伸びしろ」を判断するための単なる材料としてしか見られないような気がいたします。
待遇は妥協することになる
このように「Blender」しかできなくても、3DCG関係に職に就くことはできます。
ただし様々な点で条件面を妥協する必要もでてくるでしょう。
以下に、僕が内定を頂けた企業の雇用条件などから、僕が妥協することを求められたことを挙げていきます。
雇用形態
当時の僕は「正社員」として就職活動をしていたのですが、気が付いた時には非正規雇用、「契約社員」や「業務委託」として選考が進められていました。
結果として、内定を何社からもらうことはできたのですが、いずれも非正規雇用のものであったため、3DCG業界への就職を止めることにした過去があります。
もしもその身分で入社をし、そこで結果を出すことができたのであれば、非正規→正社員として雇いなおしてくれていた可能性もあったかもしれませんが・・・。
税金や保険
税金や保険などは、全て自分で計算して納付する必要性がでてくる可能性が高くなります。
事務系のバイト等の場合は、フルタイムで働いてさえいれば税金や保険の納付は会社がやってくれるところが多いです。
有給だって取れますよね。
しかし僕に内定を出してくれた3DCG業界の会社の場合は、いずれもそうにもいかなかったです。
「給与としてお金を支払うが、収めるものは自分で計算して収めてくれ。」
いずれもそんな条件でした。
賞与、交通費なし
上の項目にも通じるのですが、僕に内定を出してくれた会社では、賞与と交通費の支給がありませんでした。
まぁ「非正規なので仕方のないこと」と言われればそうなってきますが・・・。
経済的に余裕のある、大手の制作会社の正社員であれば、この限りではないと思います。
経験を積むことを目的とするならば「あり」かもしれない
このような「必要最小限の条件」を提示されはしたものの、「Blender一本で内定をもらうこと」はできます。
ただし説明したように給与も低く、福利厚生も皆無に等しいため、かなり厳しい生活を送ることになるでしょう。
「MAYAや3dcMAXなどの実務経験を積んで、キャリアアップを図ることが目的だ!」という考えでも強く持っていない限りは、とてもじゃありませんが毎日過ごせるような条件ではありませんね。
3DCG業界への就職を考えているのであれば、Blenderだけではいけない
もしも本格的に3DCG業界への就職を考えているのであれば、何らかの手法を用いて早々にしてMAYAや3dcMAXなどの「プロ用ソフト」に触れるようにした方が絶対にいいです。
「Blender」と「プロ用ソフト」の違い
なぜ「プロ用ソフト」に触れるようにした方がいいのでしょうか。
それは「プロ用ソフト」を触れている経験があれば、それをしっかりとしたスキルとして見られやすく、求職者の3DCG業界における市場価値が上がるからです。
残念ながら「Blender」の場合では、いくら操作に長けているからといって市場価値があるようなことはありません。
求職サイトでもBlenderの項目が設けられていないことが多い
例えばいくつかのクリエイティブ系のサイトの登録をする場合でも、使用できる3DCGソフトの項目のところに「MAYA」や「3dsMAX」はほぼ必ず存在しているのに対し、「Blender」の場合はほぼ存在していません。
同じような3DCG制作ソフトのはずですが、このような差が講じられていることはBlenderスキルに市場価値がないことの現れだと思います。
制作の現場で「Blender」を採用しているところはほぼ無い
なぜ求人サイトが「Blender」の項目を設けてくれないのかといいますと、それは求人として「Blender」の需要が殆どないからです。
需要があることにはあるんですが、全体としてはごくわずかですね。
求人サイト側も商売ですから、需要の殆どないような項目はわざわざ設けません。
殆どの現場が「プロ用ソフト」を使っている
「Blender」の需要がないということは、「それ以外の3DCGソフトの需要」が「求人の需要」の殆どであると言うことになります。
何度も登場している「MAYA」や「3dsMAX」が最も有名な二大ソフトで、需要もたくさんあると言っても過言ではないでしょう。
求人の殆どはこのソフトのどちらかの名前が表記されています。
その他には、僕も最近始めた「ZBrush」であったり、「Houndini」なんかも見かけたりしますね。
アマチュアの3DCGアーティストとして
「Blenderでどうしても食べていきたい!」
「プロ用ソフトは絶対に使いたくない!」
このようなことを考えているのであれば、上記のような世の中の事情から就職をすることを諦めた方がいいように思います。
もちろん諦めずに頑張り続けてもいいかと思いますが・・・。
ただ「その代わりに「3DCGアーティスト」としてキャリアを積んでいくことが現実的なのではないか」と僕は思います。
アーティストであればソフトの縛りがない
「3DCGアーティスト」としての活躍していくのであれば、会社に所属して制作していく場合と違って使うソフトは自由です。
ソフトの縛りがないため「Blender」でも制作していくことが十分に可能であるはずです。
会社に所属をする場合であれば、その会社が定めているソフトが使用できないと仕事になりませんよね。
人手不足が叫ばれる昨今は会社側も暇ではありません。
Blenderしか使えない人を雇って育てるよりは、もともと自社で導入しているソフトが使える人を雇ってしまったほうがいいと判断する傾向があるように思います。
このため、「プロ用ソフト」を検討する予定がないのであれば、いっその事会社に就職なんかせずにアーティストを目指してしまった方がいいんじゃないかと思います。
アーティスト>会社員
これは僕の偏見が強いかもしれませんが、僕は3DCG関連のサラリーマンをやるよりも、アーティストとしてお金を稼いでいく方が人生が幸せになっていくのではないかと考えています。
拘束時間が短い
アーティストの場合は会社員と比べて、非常に拘束時間が短い傾向があります。
僕は3DCG業界で実際に働いたことがないので、僕の体験談ではなくなってしまうのですが・・・。
あるCG会社の面接において、面接官兼人事の人と残業や拘束時間について話し込んだことがあります。
その時の面接官の人が言うには「かなり厳しい労働になるから覚悟をしておいてほしい」とのこと。
僕もある程度の覚悟は面接を受ける前からしていたはずだったのですが、話をして改めてびっくりしてしまいました。
納期前には平気で何日も徹夜するし、そもそも平常時も毎日2時間の残業があるし・・・。
裁量労働であるため、その時間はもちろん無給、残業代は一切つきません。
この会社は業界内でも「ホワイト」であると評判だったため、「そんな会社でもこんな労働をしてしまうのか・・・」と思ってしまったことを、今でも覚えております。
面接官も「かなり体力と気力が削られる仕事だ」と言っておりました。
そんな苦行な毎日とは無縁な制作ライフを送ることができるのが、アーティストという身分にはあります。
僕自身はほとんどアーティストで稼げていない
アーティストへの転身を進めている僕ですが、では僕自身の収入はどうなのか・・・。
申し訳ありませんが、僕はほとんどアーティストとして稼いでおりません。(2020年1月現在)
ただそう言うのも、「アーティストとして稼いでいく気」が現在のところ無いからです。
言い訳っぽくなってしまってすみません。
2020年現在はYouTubeに力を入れており、そちらで稼いでいきたいという気持ちが強いです。
ただ、「2020年はもうちょっとBlenderにも力を入れてもいいのかなぁ」なんて思っているところでもあります。
この文章を読んでいる方の参考になれるようにしたいところですね。
ディスカッション
コメント一覧
ええー、業界人じゃない人が採用条件語ってるの?
コメントありがとうございます。
面接のときに面接官に逆質問して確認した内容になります。
また、転職エージェント(某M社、T社)の人からも言われたことを纏めたものになります。