Blenderの上達にはデッサン力が必要? あった方が表現力が上がります!
「Blenderの上達にはデッサン力が必要である!」
たまにそのような発言や書き込みを目にすることがあります。
今回記事では、そのような話についての「僕なりの考え」というものを、記述していきたいと思います。
Blenderの上達にはデッサン力が必要?
Blenderの上達にはデッサン力が必要なのでしょうか?僕の考えを先に申しておくと、「必要と言うよりはあったほうがいい」というものになります。
そもそも「デッサン力」とは?
話を進める前に、そもそも「デッサン力」とはどういったものなのかの認識を固めておいた方がいいかもしれませんね。
日本語では「素描」
「デッサン」とはフランス語に由来する単語になります。
日本語では「素描(そびょう)」という単語で辞書に載っていますね。
辞書で引いてみると以下のような意味になります。
そ‐びょう〔‐ベウ〕【素描】
[名](スル)
1 黒・セピアなどの単色の線で物の形象を表し、また陰影をつけた絵。絵画の習作や下絵として描かれるが、完成品としても鑑賞される。デッサン。「静物を素描する」
2 要点を簡単にまとめて書くこと。また、その文章。「歳末の庶民生活を素描する」「文壇素描」
出典:デジタル大辞泉
日常会話で使われる意味は、ここでいう「1」の方になると思います。
単色の線で陰影や形象を表して、物を描き込むこと。
もしくは描き込んだ作品そのものののことを素描(デッサン)と呼ぶわけです。
「デッサン力」は「観察力」「表現力」
「単色の線を使って、様々なものを描き込むこと」がデッサンであるならば、「デッサン力」とは物事を「観察する能力」であり、また「表現する力」でもあるわけです。
例えば「リンゴ」をモチーフとして、リアル風の作品を作るとしましょう。
そんなときって、どういう具合で作り出しますか?
2Dのイラストでも3DのCGでも構いません。
一見するとリンゴを上から見たときのシルエットって真ん丸であるように見えますよね。
しかしよく見てみると、実は真ん丸ではないのです。
切ってみると分かりやすいですが、リンゴとは花びらを5枚付けて実を膨らます植物。
つまり、上から見たときのシルエットも、若干5角形よりになるわけです。
おそらくデッサン力がある程度あって、「リンゴを何回か描いたことがある!」という方であればこの辺りの事情には気づけるでしょう。
ですが全く何も知らないと、ただ丸い球体として、リンゴを作り続けてしまうことになります。
このことを予防できる力が「デッサン力」なのだと思います。
「デッサン力」があった方が表現の幅が広がる
このように、デッサン力が身に着いていれば、リンゴがただの球体ではなく、5角形が膨らんだような形態であることを見抜くことができます。
ある意味で、自分の思い込みに縛られ続けられなくなるわけです。
もちろん敢えて球体っぽく表現をするという作風なのであれば、それはそれで問題はないでしょう。
しかしそういう人が「やっぱり、リアル寄りの作品を作る!」と後から言い出すと、それなりの努力が求められてきますね。
常識や先入観に縛られなくなる
これは完全に余談ですが、デッサン力が身に着くと常識や先入観に縛られなくなるメリットがあるような気が、僕は致します。
リンゴの例もそうですが、デッサン力が身に着いていると他にもいろいろな点が、ただ日常生活を送っているだけなのにも関わらず見えてきます。
例えば、ちょうど僕の目の前にはコップがあります。
「なぜ飲み口が厚いのか」 「なぜ裾がくびれているのか」 「なぜ高台(こうだい)がないのか」
そういった視点で物を見ることができて、一つの物に対して深く思考を巡らせることができます。
その中から、何か「いいアイデア」みたいなものが生まれてくるかもしれません。
↑ただのコップですが、デッサン力が身に着けばいろいろとヒントが隠れています。
「デッサン力」の身に付け方
続いて、「デッサン力」の身に付け方についてを確認していきましょう。
基本は「上手い人」から教わること
デッサンを上達させるための基本的な方法は、とにかく上手い人から技術を教わることです。
上手い人から講評をしてもらうことができれば、一気にその人のレベルにまで上達することだって不可能ではありません。
客観視する力
「デッサン力」とは「客観視する力」でもあるわけです。
モチーフを「観察」して「表現」するわけですが、リンゴの実が自然界の中でどのような形態をしているのかを客観視することも求められてきます。
主観的な見え方(偏見)を極力排除して仕上げることが、デッサンにおいては重要です。
なんだかだんだんと難しくなってまいりましたね・・・。
ただモチーフに向き合って、一枚一枚をしっかりと向き合って、上手い人に見てもらえば、自分が見えていない着眼点というものに一つずつ気が付くことができるはずです。
美大受験生もこのパターン
美大受験を控えている人たちも、このパターンでデッサン力を鍛えている人が多いです。
世の中には「美大専門の予備校」というものがあって、そういったところに通っている受験生たちは、「講師」という上手い人に作品を講評してもらいまくって、デッサン力を鍛えております。
自分でモチーフを用意して、描いて、考察すること
自分でモチーフを用意して、描いて、考察することも「デッサン力」を鍛えることができるかもしれません。
いわゆる独学というヤツです。
しかしこの方法は非常にオススメできません。
自分の世界に入ってしまう恐れがある
この方法で枚数を重ね続けてしまうと、どんどんと自分の表現の世界にのめり込んでいってしまう恐れがあります。
先ほども話したように、デッサンとは客観的に物事を把握するための見方であって、ここには主観的な見え方や偏見といったものは、ただの邪魔なものにしかすぎません。
この手法でデッサン力を鍛えていくことができるのは、デッサン中~上級者以上の人か、もしくは天才かのいずれかだけだと思います。
「Blenderの独学」とは違う
例えば「Blenderの使い方を独学で身に付ける!」とかであれば、それは素晴らしいことです。
ソフトの使い方を「知る」状態にするだけですからね。
ですがデッサンの場合はBlenderと同じようには行きません。
独学でデッサンをやっても「見えている『つもり』」という状態に陥りやすいです。この点が、この方法で経験を積む場合の恐ろしいところです。
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