独学? 一週間で「Blenderを使いこなせるようにする」ことはできるのか? その真偽について徹底追究!
Blenderの独学に関する情報を集めていると、「一週間でBlenderを使いこなせるようにすることができました!」と謳っている人が世の中に存在することを知りました。
今回の記事では、そういった人(以下:Aさん)が言うように「本当に人は一週間でBlenderを使いこなせるようにすることができるのか」についてを、僕なりに考えていきたいと思います。
一週間でBlenderを使いこなせるのか?
Aさんが「どこの誰であるか」については、いろいろと問題になる恐れがあるため敢えて言及しないようにしておきましょう。
とにかくAさんが言うには、Aさん自身は「一週間でBlenderを使いこなすことができた」のだとか。
しかし僕が思う「結論」を先に述べておくと、まったくのゼロからの状態であれば、Blenderを1週間で使いこなせるようにすることは不可能に近いです。
(というか「不可能である」と断言してもいいでしょう!)
順を追って説明します。
初心者の場合「3DCGの概念に慣れるところ」から始まる
もしも「一週間で使いこなせた」というAさんが、過去に他の3DCGソフト(MAYA、3dsMAX等)を扱った経験のある人であれば、3DCGに関する「基礎的な考え方」が理解できているため、Blenderを一週間で使いこなすことはできるかもしれません。
しかしかつての僕のような「3DCGをやること自体が初めて」という人が一週間で使いこなせるようになることは、正直難しいでしょう。
経験者がBlenderのソフトに「慣れる」のであれば一週間で行けるかも・・・?
もしかしたらAさんは「他の3DCGソフト」の経験があったのかもしれません。
すなわち、他の3DCGソフトの経験があって、そこからBlenderに手を付けて見たところ一週間でマスターしてしてしまって、「一週間で使いこなせました!」と宣言しているのかもしれません。
その場合であれば、当然ながら他の3DCGソフトの経験があるわけですから、3DCGそのものに対する「ベースの考え方」は既に出来上がっている状態であったはずです。
Blenderを使いこなすのであれば、「Blender上での操作方法」を覚え直せばいいだけなので、一週間あれば十分であるような気もします。
ゼロからの初心者は鵜呑みにしないでほしい
今程立てた仮説のように、仮にAさんのように「他の3DCGソフト(MAYA、3dsMAX等)での経験がある」のであれば、あとはBlenderでの操作を確認するだけなので、一週間もあれば問題ないとは思います。
しかし3DCG初心者の人は、それ以前に3DCGに対する考え方を深めていく必要がどうしても発生してきます。
結果として、初心者の場合では一週間では足りないくらいの期間が必要となってきてしまうはずです。
そもそも「開始地点」と「目標地点」がずれている可能性
スタート地点がどこであったかも重要ですが、Aさんの言っているゴール地点がどこであるかも同じくらい重要です。
モデリングなのか、リギングなのか、アニメーションなのか・・・。
例えば、ゼロからの初心者が「Blenderを立ち上げ」から「カメラトラッキングを含めたアニメーション」までをやりつくすことを、「1から10まで」の段階で分けたとしましょう。
そこにある程度の3DCG経験者であるAさんがBlenderを始めだして、「モデリングをマスターするまで」をゴールとして設定したとしましょう。
独学でもBlenderでのモデリングを修了させたAさんは、Blender操作の「3から6まで」しかやっていないにも関わらず「Blenderを使いこなした!」と宣言していることになります。
無理やり他のものに例え直すならば、数学の知識のある大人が、小学6年生の算数の問題を簡単そうに解きまくって、「算数なんて余裕だ!」と小学校低学年生にドヤ顔をするようなものですね。
初学者でも「モデリング」、「テクスチャ貼り」までなら一週間で行ける?
モデリングやテクスチャ貼りまでであれば、ガチで一週間やれば行けると思います。
ただしこれは仕事終わりに会社から帰宅して、夜にちょこちょこと制作することを想定とした期間ではないはずです。
まるで「暇な学生」のときのような、時間に余裕がある日常を想定した場合の期間になります。
つまり会社勤めをしている人が、一週間でBlenderを究めるなんて不可能なのです。
GWや年末年始などの一週間でも利用しない限りは、現実的ではありません。
こだわりだしたらキリがない
初学者が仮に一週間でBlenderを究められたとしましょう。
しかしどんどんとこだわりたくなってくるのが、制作者というものです。
作っているうちにオリジナリティを出したくなってくるはずです。
おそらく、Aさんの言っている「一週間」という期間内での操作には、オリジナリティを出すための操作方法は含まれていません。
なぜならば「オリジナリティを出すための操作」は応用的なものになるからです。(後述)
Aさんが用いている「使いこなす」という言葉には、「何から何まで思うがままに操れる」というような意味が含まれていると思います。
ゼロからの初学者の場合であれば、一週間で応用まで網羅することなど不可能に近いです。
Aさんの言葉には現実味が感じられません。
Blenderを使いこなすには2ヵ月必要!
ゼロから3DCGを始める人がBlenderを使いこなすためには、僕は「2ヵ月」という時間が必要であるように思います。
この「2ヵ月」という数字がどこから出てきたのか、以下に解説してきます。
3DCGに慣れるための期間(~1ヶ月)
繰り返しになりますが、ゼロから3DCGを始めることとは、「3DCGの仕組みに慣れていかなければならないこと」を意味しています。
Blenderから始めていく人であれば、Blenderの世界感に感覚を馴染ませる必要が生じてくるわけです。
ただしこの点に関しては、会社終わりに家に直帰して、毎日Blenderを立ち上げて遊んでいれば、1ヶ月くらいあれば理解も深まってくるように思います。
ピアノで上手く指が回せなくて嫌になってしまいそうでも、諦めずに毎日鍵盤を弄っているうちにだんだんと指が回るようになってきた経験ってありませんか。
あれと似ているような気がします。
Blenderの操作を覚えるための期間(~並走1ヶ月)
多くの場合、今ほど説明した「3DCGその物へ慣れ」る過程で、Blenderで何かを作るはずです。
そのため3DCGに慣れるためにいろいろと弄っているだけで、自然とBlenderの使い方を体に覚えさせることができるでしょう。
ペンタブに対応した「イラストを描くような2Dソフト」とは違い、3DCGソフトは作品を作っていく方法が本当に独特です。
このためソフトそのものの使い方も覚えなくてはいけないのです。
しかしそれも、作品を作っていく過程で覚えていけるのです。
期間に関しても、同時進行で1ヶ月くらいあれば十分でしょう。
表現を磨くための期間(~2ヵ月)
上記の「慣れ」の期間が同時進行で1ヶ月必要でした。
ようやく基礎的なものが仕上がってくるわけなのですが、Blenderを「使いこなす」のであればここで満足している場合ではありません。
Blenderには様々な機能が搭載されており、独自の表現を追究するためにはそれらの機能についてのことも知っておく必要があるからです。
独自の表現を実現させるための機能
以下からは、「独自の表現を追究するための操作」の内の一例を確認していきます。
ノード
主に質感に影響を及ぼします。
セルルック調からリアル調まで、作品の雰囲気を自由自在に調整するためには、「ノードについてどれだけ知っているか」が重要になってきます。
ボーン、ウェイト
アニメーションなどをやるのであれば、必須になってきます。
もしも作ったキャラクターを動かしたければ、別で「ボーン」というものを作っておいて、それらを「親子関係」として関連付けなければなりません。
その際に、「ボーンA」の動きに対して「メッシュA」がどれだけ影響を受けるのか、ということも調整してあげる必要が出てきます。
このことを「ウェイト調整」と言います。
「スキニング」などと呼ばれたりもするようですが、いずれにせよ個人的には非常に時間のかかる作業の一つであるように思いますね。
思い通りにモデルが動いてくれなくて、初心者が投げ出したくなってしまうような分野の一つであるように思います。
僕は今でもたまに投げ出したくなります。
パーティクルヘアー
「メッシュ」で髪の毛を作る人も多いでしょう。
アニメのようなデフォルメ系の髪の毛であれば、メッシュによる制作が最適です。
僕の場合は、リアルっぽい髪の毛を好んで制作するため、この「パーティクルヘアー」というものを使って、髪の毛を作っていました。
これもなかなか慣れるまで一苦労しました。
等など・・・。
これらを一通りやり終えるために、もう1ヶ月。
上に説明した「慣れ」の期間と合わせれば、合計で2ヵ月かかるというわけです。
他にもまだまだある
以上のように、“とりあえず2ヵ月あれば”、Blenderの操作をモノにすることはできるでしょう。
しかし、それでもまだ「使いこなす」という状態には届いていないと思います。
多機能すぎるBlender
そもそもBlenderというソフトは、機能が多すぎます。
演算機能なんかのことも考えると、その機能は無限に広がります。
このため「絶対にBlenderを使いこなす!」と変に意気込まない方がいいでしょう。
基本と応用だけでOK
とりあえず、今ほど上で説明したように、1ヶ月間の「基本」と、自分の表現を磨くための「応用」が一通りできるようになれば、「それでいいんじゃないか」と僕は思います。
それさえできれば、好きなものを、ある程度不自由なく制作することができますからね。
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